ミュージック・パンダ

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パンダの人気に目をつけた日本政府はある重要な任務を執行するためにパンダAIを開発した。音楽を流して交通ルールを守らせるミュージック・パンダだ。可愛いパンダが流す美しいメロディ、ウキウキしたリズム、心に染みる歌声。子供も大人も大喜び。
「パンダちゃんが音楽を流してる」
「交通ルールを守ろう」
車も歩行者も交通ルールに従う。パンダの働きで交通事故は減った。
しかし問題があった。パンダが眠くなった時、代わりになる動物がいないのだ。不幸な交通事故をなくしたいパンダは不眠不休で働いた。疲れ切ったパンダが流す音楽にブツブツという雑音が混ざるようになった。それでもパンダは休みをとらなかった。
「変な音を出さないで」
「これだからパンダに働かせるのは反対だったんだ」
あちこちから批判が飛び交った。
ある時、パンダから
「キィーキィー」
という悲しい音が流れた。そして、パタンと倒れ動かなくなった。
SF
公開:18/07/11 21:59
更新:18/07/12 08:38

南野モリコ

2015年から掌編を書いています。

田丸先生の講座がきっかけで投稿を始めました。
よろしくお願いします。

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