狐の綿あめ

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黄昏時、帰路を急いでいると甘い匂いがした。どこかすごく懐かしい匂い…気がついたら足はそちらに向かって歩き出す。いつもは通らない路地を入って開けた所に小さな神社があった。そしてその神社の周りではお祭りが始まっていた。近くに綿あめの屋台がある。あぁ、この匂いだったのか…お店の人に「綿あめ一つ下さい」と声をかけて綿あめをもらい、ふっと屋台の人を見ると狐面を被っていた。周りもみんな狐のお面を被っている。仮装もするお祭りかな?今度はお面屋さんに行って狐のお面を買った。お面を少しずらして綿あめを舐めると柔らかい甘さが口の中で広がっていき、スッと溶ける…今までで一番美味しい綿あめだった。夢中になって食べ終わると祭囃子は止んでいた。小さな神社で1人ポツンと佇む自分1人…夢にしてはまだ甘い匂いが味が口の中に残っている。足元に落ちた狐面を手に取って呟いた。「また綿あめ食べれるかな」
狐が笑った気がした。
ファンタジー
公開:18/07/10 20:20

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