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夫はまた、十年前に突然目の前から居なくなった親友のことを嘆いていた。
「あなた。お茶が入りましたよ」
「ああ、ありがとう」
若い男が二人で写った写真を、寂しそうに眺めている。
「そんなに、その方が気になるのですか?」
「ああ、すまんすまん」
夫は顔を上げやさしい笑みを浮かべた。
「──あなたまさか、そのN男さんのことが好きだったんじゃ?」
あたしは思い切って訊いた。
「アハハ、馬鹿なことを。N男とは子どもの頃からの親友でな、兄弟のようにずっと一緒に育った仲なんだ。それだけさ」
「まあ」
「それが突然なんの書き置きもなく失踪してしまったんだ」
「心配?」
「そりゃ心配もするさ。今頃どこでどうしているのやら」
また寂しそうに写真を眺める夫を残し、あたしは茶の間を去った。
そんな夫の姿を見るたびに、あたしは胸が張り裂けそうになる。
ああ、今すぐにでも告白したい。N男はここにいるよって──。
「あなた。お茶が入りましたよ」
「ああ、ありがとう」
若い男が二人で写った写真を、寂しそうに眺めている。
「そんなに、その方が気になるのですか?」
「ああ、すまんすまん」
夫は顔を上げやさしい笑みを浮かべた。
「──あなたまさか、そのN男さんのことが好きだったんじゃ?」
あたしは思い切って訊いた。
「アハハ、馬鹿なことを。N男とは子どもの頃からの親友でな、兄弟のようにずっと一緒に育った仲なんだ。それだけさ」
「まあ」
「それが突然なんの書き置きもなく失踪してしまったんだ」
「心配?」
「そりゃ心配もするさ。今頃どこでどうしているのやら」
また寂しそうに写真を眺める夫を残し、あたしは茶の間を去った。
そんな夫の姿を見るたびに、あたしは胸が張り裂けそうになる。
ああ、今すぐにでも告白したい。N男はここにいるよって──。
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公開:18/07/10 17:50
更新:18/09/17 16:28
更新:18/09/17 16:28
(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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