スイッチON

アフリカのジャングルの奥地で謎の遺跡が発見された。
年代測定によると少なくとも数十万年前のものともみられているのだが、遺跡の地下にあったある装置が、学者たちの間で議論を巻き起こしていた。

それはなんの変哲もない「スイッチ」だった。
｢ON・OFF」とある家庭用の電気によく使われているもので、スイッチは「OFF」になっていた。
地下に伸びる配線を調べると相当な深さに達しており、一体どこにつながっているのかは分からなかった。
学者たちで議論を重ねた結果、一度スイッチを「ON」にしてみることになった。世界中の注目を集めるなかでスイッチは「ON」にされたが、何も起こらなかった。
何日待っても、何ヵ月待ってもとくになにも起こらず、学者たちはこの謎のスイッチは壊れてしまっていたのだろうと結論づけた。

しかし、アフリカの奥地から氷河が発生し始めたことに気が付いたときは、もうすべてが手遅れだった──。