過ぎる三人組

見えすぎる男と、聞こえすぎる男と喋りすぎる女が暮らしていた。見え過ぎる男は全ての人の秘密が見えてしまい、聞こえすぎる男には全ての人の秘密が聞こえてしまった。喋りすぎる女は二人から教えてもらった秘密を喋ってしまうので、三人は世界中の人たちの嫌われ者になった。
三人は、自分たちが役に立つ方法はないかを考えた。
見え過ぎる男は、空や草花の美しさ、昆虫や動物の生態に目を凝らした。聞こえすぎる男は風の音や虫の音、水のせせらぎに耳を傾けた。喋りすぎる女は二人が教えてくれたことを素敵なお話にまとめて、皆に喋り続けた。三人は世界中で称賛を浴びるようになった。
やがて、三人は歳をとり、体も弱り、見えすぎる男の眼はあまり見えなくなり、聞こえすぎる男の耳はあまり聴こえなくなった。喋りすぎる女は自分がどれだけ二人を愛しているかを喋り続け、やがて静けさが訪れると、三人は共に眠りについた。