オバケなんてないさ

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詰めかけた大勢の人間を見て、ちょっとした違和感を覚えた。
森の奥にある廃城。新月の夜にだけ、城の礼拝堂にとんでもない数のオバケが現れるという。みんなその噂を聞いてやってきたんだろう。
しかしオバケなんて見当たらない。壁に寄りかかり、オバケを探し回る人々を眺める。疲労のせいだろうか、みんな目が虚ろだ。なんだかどんどんと生気を失っているようにも見える。違和感だったものが、確信へと変わった。
これって、まさか……俺らが徐々にオバケになっ……
そのとき、誰かが大声をあげた。
「ぎゃあああ!!!階段のとこにとんでもない数のオバケがいるうう!!!」
階段に目をやると、逆に今までどうやって隠れてたの?って数のオバケたち。
あれよあれよという間に、オバケたちが俺らを取り囲む。その光景を前にして、思わず安堵のため息が漏れる。
よかった〜めっちゃ焦った〜〜!なんだよ〜!普通にいるパターンかよ〜〜!助けて〜!
ホラー
公開:18/07/10 00:31
更新:18/07/10 19:50

かわかむ( 茨城 )

クスっと笑っていただけるような、そんな作品が書ければと思っています。

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