馬鹿正直な創作家

たくさんの試行錯誤と長期間の苦悩の末に、ようやく一つの作品が完成した。
思わず自画自賛をしたくなる出来だったので、さっそく家の壁の全面に設置して、どこの方角からも作品の全体像が見えるようにした。

付き合いの長いご近所さんはもちろん、通りすがりの他人も何人か僕の作品を見に来てくれた。
様々な反応が見られて満足した頃に覗いたポストの中は、物質化した思いがたくさん詰まっていた。

これらは全て、僕が生きていく糧になる。一つ一つ大切にチェックしなきゃ。
熟れた果実や瑞々しい野菜は、多分ご近所さんがくれたのだろう。

おや、この肉は傷んでいる。それにこっちはどう見ても残飯だ。
こっちの魚は腐れているし、その隣のやつなんて、どう見たって虫の死骸じゃないか。
僕の作品はまだこれと同等で未熟だという意味だろうか。ひどいなあ。

いや、せっかくの施しを捨ててしまうのは失礼だ。ちゃんと全部食べ切らなきゃ……