織姫と彦星が会えますように

仕事帰りの列車内は人はまばらで席に座ってゆったりと帰宅していた。
時間を確認するためにスマホを開き、日付を見て今日は七夕だったかとふと思った。幼い頃、家の近くの商店街に七夕になると笹が飾られてよく願い事を書きに行ったっけ…大人になってからはしなくなってしまったけど、子どもの頃は願い事をするのを楽しみに していた。窓の外を見ると星がちらほら見える。織姫と彦星は今年は会えるかしら…そんな事を考えて乙女思考な自分に笑った。疲れもあってかウトウトして、目を閉じると不思議と瞼の裏に満点の星空が見えた気がした。これならきっと2人は会えそうね…そう思った時、チカッと眩い光を放つ星が目の前を通り過ぎた。そして近くの星と寄り添うように引っ付いた。あぁ会えたよかったね…そう思ったところで目覚める。織姫と彦星が会えますように。そう願った幼い頃のキラキラした気持ちを少し思い出した。