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私が小さな頃から家にはタビと呼ばれる猫いた。
黒い体に白い足。足袋を履いているようだとその名をつけた。
タビはその名の通り、旅好きで長く家にいたと思えば、ふらりとどこかに行ってしまう。
数日で帰ってくる時もあれば、数年帰ってこない時もある。
フサフサの毛がボロボロになっている姿を何度も見た。
ボロボロだった体が新しくなっている時には「生まれ変わったんだね」と声をかけた。
私は生き物の魂が見える。だから姿形が変わってもタビを見間違えることはなかった。

そんなタビの転生を7度は見た頃、私にも旅立ちの時がやって来た。
だが私は悲しくない。私の旅立ちに年老いたタビが寄り添ってくれる。
その日、私はタビと共に旅立った。

私はタビに導かれるまますぐに生まれ変わり、導かれるままそこへとやって来た。
「あらタビ、新しい体ね。そっちの猫は…」
孫が私を見て驚く。どうやら私の旅はこれからが始まりのようだ。
公開:18/07/08 20:36

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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