不安に食べられた女

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入ってみるとそこは真っ暗な洞窟のような場所だった。特に臭いもなく、やや湿気はあるものの、何もないだけで特に恐怖もなかった。

「もっとおどろおどろしい場所かと思ってた」

数日前、わたしは自分の「不安」に食べられた。始まりは健康診断後の再検査通知から、金銭不安、老後不安へと派生し、今不安になっている事への不安、無気力への不安、どうしようもない不安の渦に覆われてしまいそうだと感じた時、背後にもさもさした黒い塊がいてそいつに「んまぁん」と食べられたのだった。

「おーい、君は不安だね?わたしこのままここで消化とかされちゃう系?」

思いの外呑気だった。正直に言えば、これに飲み込まれる前、不安に不安を重ねていた時と比べたら「もうどうにでもなれ」という気持ちになれていたのかもしれない。

不安はぐるるとお腹を鳴らしただけで返事をしない。

ちょうどいい、ちょっとわたしもここらで一休みするとしよう。
ファンタジー
公開:18/07/05 23:11

二十一 七月

にそいち なながつ

まずは100話お話を作るのが目標です。

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