幻想動物見物録・弥七の場合
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ここですかい。変な話を聞いてくれる先生ってのは。あんたが何者かなんてどうだっていいや。厄介払いができて清々する。何が厄介かって?この古い太鼓、中に何かいるのさ。何かなんて聞いちゃいけない。こいつが聞いてるからね。初めは猫の鳴き声だった。太鼓の革を張る時に職人がイタズラでもしたのか。もしかしてタマじゃないかって声を掛けたら、ニャンと返事をした。慌てて出してやろうと太鼓を降ろしたさ。でも、中に猫の気配なんてない。すると今度は女の声がする。タマの名前を言い当てた女さ。でもよ、女一人の重さもないんだ。そいつの旦那が驚いて名前を呼ぶと返事がする。すると男が消えた。何も知らない奴が男を探して呼ぶと、太鼓が返事をして、また消えた。もう分かるだろ。喰うんだ、この太鼓は。開けるなんてとんでもない!出てきたらどうする!中身が何かなんて知らない方がいい。せっかく名前のわからないやつを入れたんだ。見殺しが一番だ。
その他
公開:18/07/05 12:26
『寂しがりやの太鼓』
しっかりホラー
初めの猫は何故
最後の人は誰
幻想動物見聞録
400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。
無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。
写真は全て自前でやっています(笑)
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