野良硬貨

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「あ、野良硬貨めっけ」
「野良硬貨?」
「そう、道とかに落ちてる硬貨。持ち主がいないから野良でしょ?」「私が今日からあなたのご主人様よ」
そう言いながら硬貨を拾う。財布に入れようとしたそのとき、硬貨がピッと跳ね、下に落ちた。そのままコロコロ転がって草むらの中に入ってしまった。
「あっはっは、お前がご主人様じゃ嫌だってさ」
「なによ失礼しちゃう、ふん」

翌日、同じ場所であの野良硬貨を見つけた。
「おい、またあの野良がいるぞ」
「あ、本当だ。あれ、あの人が拾うかな?」
通りかかったサラリーマンが拾う。ポケットに入れたが、ピッ。すぐに飛び出して、コロコロ草むらに隠れてしまった。

さらに翌日、また同じ場所。そこに3歳位の女の子がやってきた。そして野良硬貨を見つけると
「あ、みっちゃんの10円」と叫び、大事そうに拾い上げた。硬貨はおとなしく女の子の手の中に居る。
やっとご主人様に会えたようだ。
ファンタジー
公開:18/07/03 19:27

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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