星に願いを

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七夕の夜に一本杉の下で好きな人に告白するとその恋は成就する、そんな夢物語にすら縋りたくなるほどに私の恋心は積もっていた。
「好きなんでしょ、頑張ってきな、彼女がいるとか関係ないよ」
親友の加奈子の後押しもあり、募る想いを告げる決意をし…私は彼を一本杉の下に呼び出した。
話ってなんだよ、そう笑う彼をみて、ああ、やっぱり好きだ、そう再認識する。胸が張り裂けそうなほど心臓が飛び跳ねる。好きです、そう彼に告げた。驚いたような、困ったような顔をした彼。
「ごめん、お前のことそんなふうに見たことなかった、それに俺…女の子が好きなんだ、ごめん、太郎」
そのとき、流星が降り注ぎ一瞬彼が呆けたような顔をし言った。
「と、言おうと思ってたはずなんだけどな、こんな俺だけどよろしく頼むよ」
そういって差し出した彼の手を握り、私は涙が止まらなかった。今、男二人の愛の物語が幕を開ける。
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公開:18/07/03 19:07

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