2
80
妄想する。私以外の人間が一人もいなくなる。ラジオもテレビも何も伝えず水道も電気も止まる。缶詰の賞味期限が切れる前に釣りを覚えよう。そして世界に一人きり生きる。うっとりしていると声をかけられた。
「ここ、いい?」
我に返る。声の主は上司でコミュ障で仕事ができる男。チッと舌打ちして隅による。社員食堂はガラガラだ。イラっとする。
「僕ねテレパスなんです」
「は?」
「君の妄想、良いと思う」
上司はうどんを掻きこんで行ってしまった。なんだ、あれ。
それからすぐ宇宙人が攻めてきて人間が消えた。私の妄想通りに。誤算は上司も生き残ったこと。
「君の妄想本当良いですね」
釣り糸を垂らし彼が言う。
「人類最後を共にするのが君で良かった」
それがどういう意味かテレパスでない私にはわからない。
ただ彼が釣名人だったので「うん」と頷いた。
時間だけはたっぷりある。私たちは世界最後の人類か、それとも……?
「ここ、いい?」
我に返る。声の主は上司でコミュ障で仕事ができる男。チッと舌打ちして隅による。社員食堂はガラガラだ。イラっとする。
「僕ねテレパスなんです」
「は?」
「君の妄想、良いと思う」
上司はうどんを掻きこんで行ってしまった。なんだ、あれ。
それからすぐ宇宙人が攻めてきて人間が消えた。私の妄想通りに。誤算は上司も生き残ったこと。
「君の妄想本当良いですね」
釣り糸を垂らし彼が言う。
「人類最後を共にするのが君で良かった」
それがどういう意味かテレパスでない私にはわからない。
ただ彼が釣名人だったので「うん」と頷いた。
時間だけはたっぷりある。私たちは世界最後の人類か、それとも……?
恋愛
公開:18/07/05 00:58
ログインするとコメントを投稿できます