時酒
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こんな店、あっただろうか。仕事帰りに何かに誘われるように立ち寄った居酒屋を見渡しながら思った。薄暗い店内に客は自分一人、大将がいらっしゃい、と静かに言った。
「おススメのお酒と何かつまみを」
酒に詳しくないのだから、気取らず大将におまかせするのが初めてきた店での僕のスタンスだ。
「どうぞ、じざけ、です。地酒じゃないですよ、時酒。」
口に含むと懐かしい香りがふわりと広がり、いつのまにか故郷に帰ったような気分になった。青く広がった今よりも高く広い空の下、見渡す限りの田んぼばかりの風景、蛙や蛇を追いかけその畦道を木の枝を握りしめて走り回った…。
「…これは?」
時酒、と言ってね、大事にしてる風景を思い出させてくれるでしょ?今のは幼少期。そういって大将は静かに笑った。
じゃあ…と大将にお願いすると大将は軽く頷き別の時酒を持ってきた。
雪が降る中、産まれたばかりの我が子めがけて走った道…。
「おススメのお酒と何かつまみを」
酒に詳しくないのだから、気取らず大将におまかせするのが初めてきた店での僕のスタンスだ。
「どうぞ、じざけ、です。地酒じゃないですよ、時酒。」
口に含むと懐かしい香りがふわりと広がり、いつのまにか故郷に帰ったような気分になった。青く広がった今よりも高く広い空の下、見渡す限りの田んぼばかりの風景、蛙や蛇を追いかけその畦道を木の枝を握りしめて走り回った…。
「…これは?」
時酒、と言ってね、大事にしてる風景を思い出させてくれるでしょ?今のは幼少期。そういって大将は静かに笑った。
じゃあ…と大将にお願いすると大将は軽く頷き別の時酒を持ってきた。
雪が降る中、産まれたばかりの我が子めがけて走った道…。
その他
公開:18/07/04 22:08
更新:18/07/04 22:10
更新:18/07/04 22:10
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