夢ドロップ

夢ドロップを手に入れてから、不眠症も改善されてきた。お試し版は12色の瓶詰め入りだった。ひとつ口に含むとスーッと甘く溶けて、夢のストーリーが脳内に波紋のように広がり、気づいたころには夢の中へといざなわれている。
色は作家名を表し、作家によって見る夢が違うのだ。
お気に入りは、ハミング・ウェイ、江戸川乱坊、夏目宝石だ。

本棚にはドロップの瓶が並ぶようになった。彼女もハマってしまい、夢の感想を話し合って楽しんでいる。
彼女はある提案をした。
「二人の作家をコラボさせたら面白いんじゃない」
「それいい！」

その夜。ドロップを二つ食べ、夏目宝石と江戸川乱坊をコラボさせてみた。
すると吾輩が口癖のネコ探偵と、お坊っちゃま刑事が殺人事件を解明していくというサスペンスコメディーだった。

これをヒントに小説を書いて出版社に投稿したら、書籍化したいというのだ。

小説家になる夢が現実になりそうだ。