130円のともだち

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仕事帰りの真っ暗な夜道を、自動販売機の灯りがぼんやりと照らしている。
チャリンチャリンと小銭を入れて、少しだけ迷ってボタンを押す。今日は微糖にしてみよう。
ガコンと音がして商品が落ちてきた。そいつはまるで暖簾でもくぐるかのように、取り出し口のカバーを開けて外へと出てくる。
「こんばんは、お仕事の帰り?遅くまでお疲れ様」
「ハァ……」
「どうしたの?僕でいいなら話を聞くよ」
なるほど、確かに微糖だ。ちょうどいい甘さ。
「最近きた中途のやつがさあ……」
縁石ブロックに腰掛けて、職場の文句を並べていく。
退屈な話だというのに、そいつは熱心に相槌を打ってくれた。
10分ほど経っただろうか。
「そのときの顔ったらマジ傑作でさあ!」
「…………」
次はもっと甘いのも試してみようか。そんなことを考えながら、ゴミ箱にそいつを放り込む。カラッポになったそいつが、他のともだちとぶつかって、カンッと音を立てた。
SF
公開:18/07/03 20:00
更新:18/07/03 17:02

かわかむ( 茨城 )

クスっと笑っていただけるような、そんな作品が書ければと思っています。

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