信号待ち
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「見て、交差点で犬が信号待ちをしてる、かわいい」
傍らに寄り添い、頭をなでても、毛を逆なでしても、耳を弄んでも、ゆっくりとしっぽを振るだけで、なすがままにされている。
ずっと座ったまま、対岸を見つめて、どこかに立ち去る気配はなかった。
「あなたは、何をしているのですか?」
「赤信号を待っているのですよ、お嬢さん」
「今は青信号ですよ、渡らないのですか?」
「いえいえ、お嬢さん、ですから赤信号になるのを待っているのですよ。人間のルールでは、交差点とは、赤信号を待ってから渡るものなのでしょう?」
「もう、それじゃあ、いつまでたっても渡れないじゃない、変なアフレコしないでよね」
「それは失敬、お嬢さん」
二人でクスクスと笑う。
ずっと大人しかった犬が、大きくしっぽを揺らして立ち上がった。
待望の人を見つけたようだ。
「やっぱり、ご主人様にはかなわないみたいだね、お嬢さん」
傍らに寄り添い、頭をなでても、毛を逆なでしても、耳を弄んでも、ゆっくりとしっぽを振るだけで、なすがままにされている。
ずっと座ったまま、対岸を見つめて、どこかに立ち去る気配はなかった。
「あなたは、何をしているのですか?」
「赤信号を待っているのですよ、お嬢さん」
「今は青信号ですよ、渡らないのですか?」
「いえいえ、お嬢さん、ですから赤信号になるのを待っているのですよ。人間のルールでは、交差点とは、赤信号を待ってから渡るものなのでしょう?」
「もう、それじゃあ、いつまでたっても渡れないじゃない、変なアフレコしないでよね」
「それは失敬、お嬢さん」
二人でクスクスと笑う。
ずっと大人しかった犬が、大きくしっぽを揺らして立ち上がった。
待望の人を見つけたようだ。
「やっぱり、ご主人様にはかなわないみたいだね、お嬢さん」
青春
公開:18/07/04 04:00
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