風(かぜぎ)着

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「ちょっと休ませて。フール中にみんなとはぐれちゃって。ん?体育のフールだよ。違う違う、プールじゃなくて、風の流れって書いてフール。君の学校にはないの?
浮いてるんじゃないよ。これ、風着っていうの。これを着て風の中を泳ぐから浮いてるように見えるんだね。材質?わかんない。あ、違う違う。だって、水着も水を着てるわけじゃないじゃん(笑)
バスケと迷ったんだけど、ほら、雨降ったでしょ。だから虹が出てるかなって。ううん、関係あるよ。だって風に乗って虹を間近で見られるんだよ?まるで夢のよう。近づき過ぎると色が服に付いてしばらく取れないけどね(笑)
四季の楽しみ方もあって、春は桜吹雪、夏は入道雲、秋は紅葉、冬は雪、その中を泳ぐの。どう?やってみたくなった?
なら今からおいでよ。こんな所から飛び降りるより、その方が全然楽しいよ」
そう言って屋上で僕の手を取った彼女の背中には、七色の虹のかけらが付いていた。
その他
公開:18/07/01 23:10
更新:22/08/27 02:16

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