暑さを解消するための知恵

昔、エジプト等の砂漠地帯では「人間クーラー」というものが存在していた。
その土地の日中の気温は４０度を超えることが日常で、人々は暑さに苦しめられていた。
当時はクーラーはもとより、扇風機さえ存在しない。
人間の体温は３６．５度前後であり、自身の体温より高い気温に誰しもが涼を取る知恵を絞っていた。
その中の一つがこの「人間クーラー」と呼ばれるものである。
先ほども言ったがここの気温は体温より高い。
だから気温よりも温度の低い人肌に触れることで涼を取っていたのだ。
それが自分より体温の低い相手なら、より涼が取れる。
その結果、体温の低い人間が「人間クーラー」として存在していたのさ。

…ところで、僕の体温は３５度前後だ。
今日みたいな暑い日は、僕に抱き着けば涼が取れると思わないかい？

「課長…セクハラで訴えますよ」

クーラーの壊れた職場の中、女性社員の視線は僕に何よりの涼をもたらしてくれる