矛盾

武器商人は言う。

「我が社の最新鋭の兵器はどんなものでも破壊します。壊せないものなどこの世に存在しません」

そんな武器商人に対し、絶対に壊れない盾を開発する研究者がいた。
その盾の性能は素晴らしく、絶対に壊れない最強の盾だと誰もが褒め称えた。

そして決戦の時は来た。
武器商人の最強の矛たる最新鋭兵器と、研究者たちの最強の盾がついに勝敗を決める時がやって来たのだ。
全世界の人間が見守る中、それは始まり、一瞬にして決着がついた。

結果で言えば、最強の盾はすべてを破壊することに成功し、最強の盾は壊れないことを立証することが出来た。
矛と盾はこの戦いに勝ったのだ。

この戦いに負けたのは人類だった。
最強の矛たる兵器が起こした環境破壊により、地球は人間が住める環境ではなくなった。
結果、人類は最強の盾たるシェルターの中で生活することを余儀なくされたのである。