薬指の魔法

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こっそり測った彼女の薬指のサイズ…。僕は意を決して、日曜日の街を歩いたのだった。

友人に勧められた店のドアを開けると、店主の懐かしい笑顔が僕を迎え入れた。
「お久しぶりですね、お客様。そのご様子だと、“それ”は良い働きをしているようですね」
「お久しぶりです。とても良い働きをしてくれましたよ!」
「それはそれは良かったです。今回のお探しものは指輪ですか?」
頷く僕に、店主はひとつの指輪を見せてくれた。この指輪には、素敵な魔法がかけられているらしいのだ。

僕の赤い糸が、彼女の薬指に絡まったあの日。僕らは恋に落ちた。
僕らの赤い糸は、時々解けそうになったりする。そんな時のために、この指輪を彼女に贈る。
この指輪には、ふたりの赤い糸をきつく、固く結んでくれる魔法が…。
僕らは薬指の魔法にかかり、永遠の愛に落ちていく。
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公開:18/07/02 21:00

すみれ( どこか。 )

書くこと、読むことが大好きな社会人3年生。
青空に浮かぶ白い雲のように、のんびり紡いでいます。
・プチコン「新生活」 優秀賞『また、ふたりで』
・ショートショートコンテスト「節目」 入賞『涯灯』



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