幻想動物見聞・若菜の場合

びっくりしたでしょ、先生。私もです。この子が来てから驚きの連続です。先日、祖父が亡くなりましてね。彼は莫大な金額の相続人を、この子にしたんです。ヨウムですよ？正気じゃないと父も叔父も笑いました。だけど、隠し金庫の場所も番号も、どこにも書かれていなかった。つまり、祖父はヨウムに覚えさせたんです。傍迷惑な話ですよ。だからみんなこぞってこの子のご機嫌取りです。でもヨウムは繊細ですから、知らない人も環境も駄目で、弱ってしまいました。そこで私ですよ。一族の落ちこぼれでしたが、世話くらいできるだろと押し付けられました。可哀想に、私はこの子に休んで欲しかった。今でもこの子は喋りません。だけど今はこうして仲良しなことが嬉しい。それで、お話というのがこれ。祖父の子ども時代の写真です。ここ、この子がいます。長生きすぎる。多分ヨウムじゃない。でもいいんです。祖父は私に家族を残してくれました。
名前はよっ君です。