かべうち

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壁の向こうからロックが聞こえる。腹の底に響くリズム。稲妻のように鋭いギター。シャウトするボーカル。
アパートの壁は厚くないから、あまりに静かでいると、隣からの生活音に気づく。掃除機の音。洗濯機が回る音。ベランダを開ける音。
隣人は音楽が趣味のようで、毎日コンポで音楽鑑賞をしている。流れてくる曲から察するにロックに傾倒しているようだ。隣人の影響で、最近私もロックに興味が湧いてきた。何度か聞いている曲が流れてくると、それに合わせてつい歌ってしまう。最初は小さく、のってくるとクレッシェンドをしていく。これはよくないと考えてはいる。アパートの壁は厚くない。近所迷惑になる。でも、ここからが最高なんだよなあ…。

ドン、と壁を打つ音。ドラムではない。右隣からだ。
「うるさいぞ!歌うな!」


「歌ってないぞ!」
と左隣が言い返す。

やってしまった。
壁の間に小人が住んでることがバレちゃまずい。
ファンタジー
公開:18/06/25 12:39
更新:18/06/25 12:52

砂塵

読んでいただきありがとうございます。
話のおもしろさ云々はひとまず置いといて、とりあえず一本完結させることを重視して書いてます。
朗読ラジオ「月の音色リスナー」です(^o^)/
低浮上中なのでコメント返し遅れるかもですが必ずお返しします。

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