虹色のリンゴ

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人々はこぞってそのリンゴを取り合っていて時には警察沙汰になる事もあった。

自分は雑誌記者で、担当する雑誌にこのリンゴを取り上げた事が事の始まりだった。

そのリンゴを知ったきっかけはひょんな事で、とある取材中、雨が降り出し、雨宿りできる場所を探していたら目の前に大きな虹が架かり何気なくその虹の方に進んだら見つけた。というまさにネタ向きな最高の経緯だった。農家の主人は掲載に好意的ではなかったが自分がゴリ押しした。

「この度は本当に申し訳ありませんでした」

改めて農家に出向き、現状について詫びた。すると主人が虹色のリンゴを一つ差し出してくれた。

7色ボーダーに輝くリンゴを大口でかじる。芳醇な香りと奥深い甘さ、若く跳ね返す歯ごたえ。目を閉じ五感全てで味を感じる。うますぎる。見た目以上にその味は格別だった。

「やっぱりこれ…」目を開けた時、そこには雨の草原と大きな虹だけが広がっていた。
ファンタジー
公開:18/06/25 11:58

二十一 七月

にそいち なながつ

まずは100話お話を作るのが目標です。

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