一番賢い豚

　あるところに豚の一家が住んでいました。
　その日は子豚たちの独り立ちの日でした。
「外には狼が出ますからね。気をつけるんですよ」
「はい、お母さん」
　そう言って、三匹の子豚は家を後にしました。
　そして、長男豚は藁の家を、次男豚は木の家を、三男豚は煉瓦で家を造りました。
　そこに狼がやって来ます。
　藁と木の家は、あっさりと狼に吹き飛ばされてしまいました。
　長男と次男は、あわてて三男の煉瓦の家に逃げ込みます。
　狼は煉瓦の家も吹き飛ばそうとしますが、さすがに無理でした。
　そこで、狼は煙突から忍び込もうとします。が、子豚たちは下に煮立った鍋を置いて、待っていました。
　あわれ、狼は鍋の具にされてしまいましたとさ。

　そうして怖い狼がいなくなった後。
　四男の子豚は、悠々と両親の家から出発したのでした。