シャッタースピード
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「シャッタースピードで光の量を調節する。夜は光が少ないから、長くシャッターを開け、星の光をじっくり集めるんだ。基本は、30秒間」
それを聞き私は頷く。
夜の丘。写真部の皆は散り散りになり場所取りをする。
初心者の私は、先輩に甘えて指導をお願いした。夜空は気難しく、何度も調整が必要だ。
「コーヒー飲める?」
唐突な質問と共に、先輩がタンブラーを取り出す。
「これ、優れもので。シャッタースピードと同じ要領で、人の熱を集めてお湯が作れる」
「へえ」
「やってみる?」
「はい!」
早速両手でタンブラーを包むが、手が小さすぎる。その時、先輩が咄嗟に両手を重ねた。
「30秒」
星以外の光を許さない暗闇の丘で、一箇所に熱が籠る。
30秒後、先輩は手を離し「ほら、出来上がり」 とコップにお湯を注いでみせた。
立ち昇る湯気の向こう、彼の頬が薄く上気して見えたのは、きっと、私の自惚れだ。
それを聞き私は頷く。
夜の丘。写真部の皆は散り散りになり場所取りをする。
初心者の私は、先輩に甘えて指導をお願いした。夜空は気難しく、何度も調整が必要だ。
「コーヒー飲める?」
唐突な質問と共に、先輩がタンブラーを取り出す。
「これ、優れもので。シャッタースピードと同じ要領で、人の熱を集めてお湯が作れる」
「へえ」
「やってみる?」
「はい!」
早速両手でタンブラーを包むが、手が小さすぎる。その時、先輩が咄嗟に両手を重ねた。
「30秒」
星以外の光を許さない暗闇の丘で、一箇所に熱が籠る。
30秒後、先輩は手を離し「ほら、出来上がり」 とコップにお湯を注いでみせた。
立ち昇る湯気の向こう、彼の頬が薄く上気して見えたのは、きっと、私の自惚れだ。
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公開:18/06/25 00:58
更新:18/07/15 14:23
更新:18/07/15 14:23
結婚し、幸せになりを潜めて3年。
再び書きたくて登場。
多分そのうちまた消える。
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