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「大きい背中だなぁ。」
 父親が運転する250㏄のバイクの後ろに座っているぼくはいつもそう思っていた。
 日曜日になると、いつも父親はどこかへぼくを連れ出してくれる。行先はいつも行き当たりばったり。ある時は海へ。ある時は山へ。いつも家にばかりいた自分は、ツーリングがある日曜日が楽しみでしょうがなかった。しかし、ある日ぼくは異変に気付く。
 あれ?背中前よりも小さくなってない?。

 次の年になると、父の背中の面積は去年よりもさらに小さくなっていた。以前は、前が見えなくていつも横を向いていたため、ツーリングが終わると寝違えたかのように首が痛くなっていた。しかし、今はその必要がない。前を見ていても十分景色を楽しめるのだ。

 そして、いつの日かドライブをすることは無くなっていった。
 「親父、今日はツーリングいいや。」
 初めて親父にそういった日、親父は残念そうに少し小さくなっていた。 
その他
公開:18/06/23 15:23
更新:18/06/23 15:25

サラダバー( 東京 )

28歳。

 

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