夢をやりなおす薬

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「昨日夢にアイツが出てきたの。声を掛けられなくて、じっと後ろ姿を見てたらアイツが急に振り向いたの。私、逃げるように視線を逸らしてね、アイツがこっち見てるのに必死で違う所を見てた。別れて3ヶ月も経つのに凄い自己嫌悪で。もっと嫌なのは、目が醒めて私後悔してたのよ。なんで声掛けなかったんだろう、アイツの顔を目に焼きつけておかなかったんだろうって」
「その夢、やりなおせるよ」
「え?」
「この薬を飲めば、もう一度同じ夢が見られる」
「ホントに?」
「うん。彼に伝えたい事があるなら夢でもいいから伝えろよ。でも夢は夢だ。現実は変わらない。そこはちゃんと理解しろよ。それでも、その夢が現実を変える一歩になるなら、この薬は役に立つ。きっと」
「…ありがと」

目が醒めて僕は後悔する。
またダメだった。次こそちゃんと伝えよう。
アイツの事は忘れて僕と…!
僕はまた薬を口に含んで眠りについた。
次で47回目…。
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公開:18/06/24 12:53
更新:18/06/24 14:16

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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