花火を束にして

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玄関のドアを開けると、彼が何かを抱えるフリをして立っていた。
「なに?それ」
「花束!」
「お花が全く見当たらないけど…」
いたずら顔で彼は続ける。
「今日、豊平川の花火大会だろ?俺たち皆勤賞だったよなあ」
「そうね」
「今年は行けないから、昔の花火、全部持ってきた」
彼は家に上がるなり、居間の電気を消した。すると、暗闇の中に光り輝く花束が現れた。
「綺麗…」
彼が一輪の花を抜き取り、ふわりと投げる。ぱっと、小さな花火が宙で咲いた。
「今のは、2014年」
付き合って最初の花火。それから2015年。浴衣の準備が遅くて、彼を待たせた。一昨年、去年…全部、覚えてる。
「ごめんね。今年、行けなくて」
最後の一輪を見つめ、私は呟いた。
「ばか、今年はしょうがないよ。来年からまた皆勤賞だぞ」
電気をつけると、彼は嬉しそうに、臨月を迎えた私のお腹を撫でた。
「今度は3人で。な?」
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公開:18/06/23 21:58
更新:18/06/24 21:19

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