かぜくらげ

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目の前を風と共に白い塊が通り過ぎる。ビニール袋か。目で追いかけてみる。違う。1匹のくらげだ。くらげは何を勘違いしてるのか宙を漂っている。ここは海じゃない。
風が止むと、くらげはずしゃりと地面に不時着した。風に吹かれるままに動いていたからだろう。なんとなく、くらげを観察する。くらげは動かない。さっきまで半透明だったくらげは真っ白になった。くらげはほとんどが水分だと思い出したので、持っていた水をかけてみる。変化なし。
かさの部分をつつくと硬くて、叩けばコオンと音がした。
手に下げていたビニール袋にくらげをいれて持ち帰ることにした。
乾いたくらげを縁側に下げると、かさと足がぶつかってリンリンときれいな音がした。去年割れた風鈴の代わりにちょうど良く、その音が家の中を涼しく感じさせてくれた。
強風注意報の翌日、くらげはいなくなった。しまい忘れたので、風に吹かれるがまま、再び宙を漂っているのだろう。
ファンタジー
公開:18/06/23 21:52

砂塵

読んでいただきありがとうございます。
話のおもしろさ云々はひとまず置いといて、とりあえず一本完結させることを重視して書いてます。
朗読ラジオ「月の音色リスナー」です(^o^)/
低浮上中なのでコメント返し遅れるかもですが必ずお返しします。

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