幽霊と天然爺さん

そのマンションの部屋は、いわくつき物件だった。そこへ老人が、一人入居することになった。

この部屋に住みつく幽霊がいた。彼は来訪者を脅かすことがアイデンティティらしい。
その夜。幽霊は老人の枕元に血だらけの姿で現れた。
（じじい驚いて腰抜かすなよ）
老人は彼を見た！驚くのは驚いた。
「こ、これは大変なケガじゃ！今すぐ救急車を呼んでやるからな！」
「ありがと、バカヤロ！幽霊じゃ！」
「ユーレイさん？どちらの」
「どちらもこちらもねぇだろ、幽霊に住所あるかっ！」
「で、なにかご用で？あ、それより手当てじゃ」
「しなくていーから！」
「これを」
「絆創膏？切り傷に便利だよね、バカヤロ！全身血だらけじゃい！」
「なんですか？騒がしいですねぇ」
老婆が壁からすり抜けてきた。
「うわぁ〜っ‼︎、て幽霊かよ！」
「あら、お客様？」
「ばあさんお茶を」
「なごめるかっ！もうええわ！」

幽霊は引っ越した。