青碧の深海

豪華客船タイタニック号は南極で沈没した。一瞬の出来事だった
その事故で何万人もの人間が海の藻屑になったと聞いている
おそらく遺族たちは家族や恋人をこの航海に送り出した事を後悔しただろう
けれどもこの時、彼らはそんな事態になっているとは誰もを知らない
詳細な情報が公開されたのは五年後だからだ
それまでの空白の期間、いろんな噂が巷に流れた
あの海に住む巨大なクラーケンに乗客全員喰われたんだとか、神隠しに合ったんだとか、海賊に襲われて全員捕虜になっているんだとか
あの事故から一ヶ月が経つと別の噂が流れた
船の倉庫に積まれていた金塊や宝石の所在についてである
消えた貴金属の時価総額はおよそ数千億円を超えるらしい
巷ではいろんな憶測が飛んだ
けれども真相は闇の中
事故から二ヶ月後、ある冒険家が深海で光る物体を見たと証言した
民衆は深海には宝石が眠っているぞと躍起になった
けれども調査は難局を極めた