紫陽花の歌

久しぶりにあった友人と小籠包を食べていた。
「この時期にこれ食べてると、紫陽花思い出さない？」と友人が言ってきた。どうやら形が似てるらしい。
紫陽花といえば、高校の古典の授業で「八重咲くごとく　八つ代にを　いませ我が背子　見つつ偲ばむ」
という万葉集の歌を学んだ。
「紫陽花は日本原産の花であるが、詠まれている歌が少ない。この歌は、『いつまでも元気でいてください。この花を見るとあなたを思い出します』という人を想う歌だ」と先生が教えてくれた。
あれから50年。いろんな経験を積んできた。目の前の友人とも50年の付き合いになる。

「紫陽花の花言葉知ってる？『乙女の愛』なんだって」と友人が言う。
そうなんだぁ。愛かぁ。恋する心も忘れていたなぁ。いつまでも女であり続けなきゃね。
「よし、新しい下着を買いに行こう！」
急に言い出した私を不思議そうに見つめる友人がいた。