29. じどうはんばい機

前世紀から課題になっている日本の少子化問題が22世紀に入ってから益々深刻な事態に。

私たち夫婦は結婚7年目だがまだ子供がいない。
どんな子が生まれても絶対に大切にするのに…。
なので夫ともよく話し合い今国でそういうカップルのために特別に用意されている養子縁組をお願いすることにした。

指定された日時に指定された場所へ。
受付の後係の人に通された部屋には通常より2倍も大きい不思議な形の自販機が置いてある。

「この自販機は子供が出てくる児はん機です。あなたたちはどういう子供でも育てる覚悟があるということで間違いないですね」
「はい」
「それではどれか一つボタンを押して下さい」

「オギャーっ！」

少し大きめの黒人の血の混じった女の子の赤ちゃんだ。

「今世界中で生んでも育てられない子供が増えています。あなたたちはその子を愛情いっぱいに育てて下さい」

「はい！」私たち夫婦は笑顔で答えた。