チャイム転生

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残業に疲れ気絶するように眠るのが常だった俺は、目を覚ますとチャイムになっていた。
『はあっ!?なんだ、何でチャイムに!』
訳が分からぬまま気付けばお昼時間。
生まれついての習性というやつか俺は体を揺らしていた。
キンコン、カンコン。音に合わせて人々がゾロゾロ動き始める。

『俺の音に従って、あいつらは動いているのか。』

この日から俺の人生、いやチャイム生が始まった。
来る日も来る日もキンコンカンコン。人間の都合なんざお構いなし。
『あははは!なんて愉快なんだ!!あいつもこいつもみんな俺の思うがままだ。』

ある朝、目を覚ますと部屋の外がやけに騒々しい。
扉が開くと、俺の部屋は眼を血走らせた人々で溢れかえった。
「クソ!こんな物があるから。」「毎日毎日、もう我慢ならん。」「滅びろ、時の悪魔め。」

痛みこそ無いが皆の激情が体を震わす。
そして俺は宙を舞い、キンッと高い音を残して砕け散った。
ファンタジー
公開:18/09/01 21:48
更新:18/09/01 21:50

普通のへいわじん

月の音色にて噂を聞きまして。
よろしくお願いいたします。

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