オーラを感じる

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土俵に上がり、対戦相手の顔を見る。
相手は最近十両に上がったばかりの若造だ。大関であるこの俺の敵ではない。
だが俺はそいつから発せられる不気味なオーラに慄いた。
俺だけじゃない。行司だって顔をしかめている。
荒い息。血走った目。何なんだこいつは!
はっ!いかんいかん。大関であるこの俺がこんな若造に飲まれてどうする。
簡単な話だ。いつものようにすぐに押し出してやる。

「はっけよい!残った!」
若造は差し込みが甘い!俺は力を入れると一気に押し出しの構えを取る。
その時だ。視界がぐらつき、気が付けば俺は土俵に倒れていた。
目が!鼻が痛い!これはなんだ!
俺はそのまま医務室へと運ばれた。

十両の若造が取材を受けている。
「勝因?そうですね。稽古場の風呂が壊れて、もう10日は入っていないことです」
どうやら俺がオーラと思っていたものはアイツの臭気だったようだ。
取材班も若造から距離を取っている。
公開:18/09/01 19:20

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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