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ハルは自然の中で伸び伸び育った。
通勤の度に見かけるショーウィンドウの中の「北オーストリアの農家」の絵を見ると心がチクッとする。子供の頃に通った芸術教室によく似ているのだ。そこではハルと一緒に幼馴染で同級生のタカ君とテルちゃんも絵を描いていた。
時々、教室の庭で風景を描いた。ハルは草花が好きで花摘みをしたり木登りをしたりして、絵を描くより自然と戯れる方が好きだった。
一年も経つとタカ君とテルちゃんはメキメキ上達し、ハルは中々進歩しない。苦しさと焦り、羨ましさで心が乱れた。二人の水入れをわざと倒したり、絵の具を隠したりした。関係はどんどんギクシャクし、会話も減り、避けるようになった。
見かねた先生が
「ハルちゃんは字が綺麗だからお習字もいいね」と勧めてくれた教室に変わった。
その書道は今、仕事になっている。
思い出は苦くてもいい。その分感謝も大きいから。二十年経ってハルはしみじみ述懐した。
青春
公開:18/08/31 21:07

高倉みこ

小説初心者の高倉みこです。
もう直ぐ後期高齢者ですが、人生これから!

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