心の底で。

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「心の底で。って話したっけ?」
「ううん。何?」
「つるはしや、ザイルや、カンテラをもって、どんどん降りていくんだ」
「それで?」
「随分苦労して、やっとのことで底に辿り着く」
「うれしいわけね」
「到着した。征服した。我々はこの前人未踏の地下に光を当てた。全貌を明らかにした!そりゃもう大騒ぎさ」
「わかった。夢オチだ」
「続きがある。隊員の一人が恐ろしく深くて、狭い井戸を発見してしまうんだ。そこで全員が絶望する。The End.」
「なにそれ。井戸なんだから貞子くらい出せばいいのに」
「はい! これは心理テストでした!」
「何? じゃ、私の答えは貞子ってこと?」
「そう。君は貞子」
「で、そのココロは?」
「きっとくるう~♪」
「馬鹿じゃないの。じゃ、あなたは?」
「俺は、飛び込んだ。井戸に」
「で、そこに何がいたの?」
「さあね。まだそこについてないから」
「きっとくるう~♪」(笑)
その他
公開:18/08/31 19:20

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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