蛇のいる風景

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皮の剥げた太い幹を登り、枝に体を巻きつけて休んでいると、そばにいたみどり色の小鳥が僕に気がついて飛び立った。

そんなに避けなくたっていいじゃないか!

嫌な気分になって目をつぶった。この木に登ったのだって、あの青白い家の老夫婦に追い払われてしまったからだった。あそこの旦那は怖くてきらい。木の棒で僕を叩くから!

いくつもある窓の向こうがわの男を蛇目で睨んだ。男もこちらを睨んでいたから、僕はそっぽを向いた。

農場のあぜ道を、最近この街にやって来た画家が歩いてくる。話しかけてやろうかとも思ったが、また追い払われてしまうかもしれない。何やら僕はこの風景には似合わない存在らしいから。

枝をぎゅっと抱きしめて、こちらを眺める男を見つめた。
僕がここにいていいならば、どうか僕を描いてはくれないかな。
その他
公開:18/08/31 15:54
更新:18/08/31 16:16

遠火

はじめまして、よろしくお願いします。

投稿作品のアイキャッチ画像うまく使えませんでした。難しい。次は頑張ります。

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