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「ヒ・ミ・コ♪ ヒ・ミ・コ♪ L・O・V・E HI・MI・KO~♪」

アリーナ席から野太い声と共に、色鮮やかなペンライトが揺れる。ステージ上からその光景を見つめ、私は深い溜息をついた。
「なんで、こんな事に……」
まさかアイドルとして祀り上げられるとは思いもしなかった。それは、あれよあれよという間の出来事。後援会まで出来てしまった今、私はこうしてステージに立つしかない。
まぁ、所詮はアイドル。この加熱した人気も一過性のものだろう。それにしても……。
「ちょっと表に出ただけだったのに。あの日、髪の毛を顔の横で結んでいたのが悪かったかな? 私がアイドルだなんて笑っちゃうわ」
そう愚痴を言ったところで後の祭り。

「ヒ・ミ・コ♪ ヒ・ミ・コ♪ L・O・V・E HI・MI・KO~♪」

あぁ、耳が痛い。まさに災禍ね。本来なら災禍を巻き起こす側なのに。私ね、ヒミコじゃなくて……。

サダコ、なの。
その他
公開:18/08/31 23:51
後援会がある卑弥呼 スクー

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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