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「いつになったら出てくるんですかね…。」
「バカ!声が大きすぎるぞ!」
森の茂みの一軒家の前、老いた刑事が張り込んでいる。
手には牛乳と木村屋のアンパン。
昔と変わらぬスタイルである。
そして隣には若い青年。
幼い頃に横断歩道で、事故寸前に救ってもらった。
そこから刑事を慕い続けて、数年前から相棒となった。
けれども彼はもう知っている。
そこには誰も住んでいないことを。
刑事もそれに気付いていることを。
だけども今も張り込んでいる。
張り込まずにはいられないのだ。
きっと生涯続くのだろう。
青年は最期まで見届けるつもりだ。
「くっそー、なかなかしぶとい奴め!」
刑事は今日もアンパンを食べる。
たまにコロッケパンの日もある。
その他
公開:18/08/31 14:38
更新:18/08/31 14:48
刑事

裏本田・柴志朗( 東京都 )

心理学科卒構成作家。
近年のお仕事→ラジオ、ラジオCM、アイドルバラエティ、TIF、お笑いライブ、芸人さんのネタ作成協力など
MXTV「おはよう!アイドル長屋REMIX」放送中です。
好き→プロレス、野球、アニメ、特撮

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