受付番号4797674(クリムト作「北オーストリアの農家」より)

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さて、いいかい? よくお聞き。星の実る樹の小道を歩けば、君の新しい家まで迷うことなく辿り着ける。

大丈夫さ! 君が行こうとしてるのは怖い場所じゃない。なんてったって、ピカピカ光る黄色い星は今が盛り。どこまで行ってもどこまで行っても、手の届きそうな所で呆れるくらいの星が鈴なりに瞬いて、そりゃもう綺麗な光景だ。こう言うのも何だけど、君は本当にいい季節に来たよ。しかもあの星って奴らときたら、熟れすぎて枝から落っこちてしまったくらいじゃキラキラ輝くのを止めやしないんだ。てなわけで、地面のあちこちに転がった星は君の足元を照らす導となってくれるだろう。だから君も恐れずに進んでお行き。完熟しきって落ちた星は素敵な桃色に煌めくから、歩きがてらそれを探してみるのもいいと思うよ。

よし、そろそろ君の出発の時間だ。今度はちゃんと、新しい家でしっかり長生きしてから此処へ来るように。それじゃ、うん、いい来世を。
ファンタジー
公開:18/08/31 14:20

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