似て非なる世界

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子どもの頃の夏休み、僕は井戸に落ちた。井戸に映る僕が不思議だったんだ。幸い水は深く、怪我もなく助けられた。その時のショックか、みんなの姿形は同じなのに、なんだか知らない人に見えた。
「亮ちゃんは亮ちゃんよ。大丈夫」
大人はみんなそういうけど、子どもたちはみんな僕を知らない人みたいに感じてた。
「みんなはみんなよ、亮ちゃん」
みっちゃんもそういう。だけど、僕には耐えられなかった。
僕はもう一度井戸に来た。僕だけが違う世界なんて、もう耐えられない。
「だめだよ、危ないよ」
みっちゃんが見てた。
「行かないで、そばにいて」
ありがとう、みっちゃん。だけどさよならだ。
井戸に映る『僕』に向かって落ちた。激突が終わらせてくれる。でも、するりと何かが体を通り抜ける。そうか、そうだったのかと僕は察した。僕を助けてくれたのは父さんだ。僕は父さんに話した。
「井戸の向こうの世界に、死んだみっちゃんがいたよ」
ミステリー・推理
公開:18/08/31 08:45
更新:18/09/04 19:28
微ホラー 平行世界 似て非なる世界

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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