北オーストリアの農家 1911-12

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「マンガの世界の中に入りたい」
そんな夢を叶える装置が開発された。
瞬く間にブームとなり、人々は色んなマンガの中に入り熱狂した。
マンガに興味のない私はその装置を別のことに使ってみることにした。絵画の世界の中に入ることである。さっそく大好きなグスタフ・クリムトの作品に入ってみた。

入ってみて感じたのは違和感。どことなく不快な感じがする。その上心なしか暑い。本来とは違う使い方だからなのかと仕方なく思いつつ、どんな素晴らしい世界なのかと期待していただけにがっかりして戻ってきた。

それから数日後、驚くべきニュースが入ってきた。展示されていた「北オーストリアの農家」が精巧な贋作だったのだ。驚くと同時に納得もした。いくら精巧とはいえ贋作。どことなく感じていた違和感の正体はこれだったのだ。オーストリアの農家ならぬ「オーストラリア」の農家の世界に入っていたというところか。どおりで暑かったわけだ。
SF
公開:18/08/28 20:02

ぬらりひょん( 京都 )

アニメ・マンガが好き。
月の音色リスナー

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