愛しのあの人とその娘

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やっと見つけた!ここが彼の住む家ね。
奥さんを亡くし、そのショックから大金持ちでありながら、こんな北オーストリアの森の中で幼い娘と二人で農業を営んでいるだなんて…そんなのもったいないわ!
私は彼の妻になるべくやって来た。呼び鈴を鳴らす。
はーい。という元気な声とともに彼の娘が出てきた。
「はじめまして。今日から私がママよ」私は微笑む。
彼の娘は驚くも嬉しそうに笑って、胸に抱いていたものを私に突き付けた。
「はい!プレゼント!ママの大好きなものだよ!」
薄汚れたボールのようなもの。何だこれ?
よく見るとそれは、人の首だった。
あの人の、首だ。
私は逃げ出していた。だってあの娘、血の付いた包丁を握っていたんですもの!

私は逃げ出した女の背を見送った。これで10人目か…そろそろ引っ越したほうがいいわね。
今夜、父に相談しよう。
首?あれは偽物よ。あんな子供騙しが通用するなんて相手もまだまだね。
公開:18/08/28 19:08

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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