山奥の美少女

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食べると不老不死になれる花がある。

近頃、北オーストリアの町人の間でこんな噂が広まっていた。誰もが手に入れたいと願ったが、花を見つけた者は一人として現れなかった。

三ヶ月後、町は次の噂で持ちきりになった。
「山奥にある農家にとびきりの美少女がいるらしい」
これを聞きつけた男たちは我先にと山奥を探し回り、ぜひ自分の嫁に迎えたいと願った。

ある男がとうとう彼女を見つけた。
情報など他になかったが、息をのむ美しさ。一瞬で彼女とわかった。
「君はここの家の子かい?」
声をかけると、こちらに気付いた肩が小さく跳ねた。
「私は一人なの」
彼女は苦笑したように見えた。
「まだ若いのにどうして?」
声に出した後で男は複雑な家庭事情を想像した。あ、ごめん、と付け足す。彼女が微笑む。
「ねぇ、私いくつに見える?」
あんまり無邪気に聞くので、男は素直に答えた。
「18歳かな」

「残念。198歳でした」
ファンタジー
公開:18/08/28 08:58
更新:18/08/28 09:07
小説 400字物語 ショートショート ファンタジー

yuna

400字のことばを紡ぎます。

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