幻想動物見聞録『面談』・後

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別室に万が一の為の武装職員がいるが、私は彼女にそんな脅威を感じなかった。細い顎だ。桃と葉しか食べないからか、良い香りがする。無邪気で、無力で無防備だ。幼さすら感じる彼女の頭を撫でると、彼女はゆったりと笑った。
「率直に聞きます」
彼が尋ねてきた。
「姉はなんだと思いますか?」
真剣な彼に対して、私は迷う。それから率直に答えた。
『綺麗な女の子』だと、と私は答えた。彼は面食らった様子だ。
「それだけですか」
それだけですと私は返した。彼女は、このまま虫になっても彼女である。
「そう……ですか」
彼は暫く黙った。彼は何を期待していていたのだろう。解明か、治療か、駆除か、保護要請か。ただ帰り際の彼の表情は、とても晴れやかだった。
「また連絡します」と、彼は私に握手を求めたので応じた。
後日、彼から写真付きの手紙が来た。こちらが秘匿したい情報は全て写真裏に記載されていたので、なかなかの策士である。
ファンタジー
公開:18/08/28 01:02
更新:18/08/29 17:22
幻想動物見聞録 番外編 研究員の所見 髪の毛サラッサラ お肌スベッスベ お腹もっちもち 姉弟

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
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