影踏み

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影を踏むと姿を現わす家がある。

それは僕が影を踏んでいる時にだけ姿を見せる。他の人が踏んでも駄目なんだ。

家の中に何があるかは楽しみ。

でも僕は絶対に中には入れない。僕はただ見つめているだけ。

友達がいない僕は弟へ頼んで中へ入ってもらった。中には人がいて、一番欲しいゲームをもらったんだってさ。

お母さんも入った。高級なネックレスをもらい、近所の人に自慢してた。

お父さんは何をもらったか忘れたけど、最近昇進(しょうしん)したって言ってた。

僕は何ももらえない。欲しいものがあるのに。

弟の友達が噂を聞いて、僕の元へやってきた。そしてその友達も、僕の同級生も、近所の人もみんな僕の元へ来て、影を踏んでと頼んで来た。

僕に友達がたくさんできた。数え切れないほどの友達ができた。

もし僕が家に入れたのなら、大切な友達はできなかったかもしれない。
その他
公開:18/08/27 23:50

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