土俵の上でプロポーズ

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相撲好きな彼女へのプロポーズはここでと決めていた。

遠距離恋愛を続けて三年が経つ。それも今日で、千秋楽だ。

両国国技館の土俵に、彼女と僕で向き合った。

「どうしたの、こんなところに呼び出して」

彼女の顔は笑っていた。分かってるくせに。

「あのさ」僕は意を決する。「二人で一緒に住もう」

「二人で一緒に相撲?」

「あ、いや、ちがくて」

「これはちょっと、物言いですね~」

「すみません」

「え、住まないの?!」

「あ、だからその」

あーもう! 僕は彼女に近づいて膝をつき、指輪を差し出した。

「あれ、土が付いちゃった」

そうからかってくる彼女の目は潤んでいた。

「僕と結婚してください」

「ありがとう。こちらこそ、よろしくお願いします」

涙を流しながら、でもしっかり手刀を切って、彼女は指輪を受け取る。

それから僕らはがっぷり四つで組み合って、優しく唇を合わせた。
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公開:18/08/27 23:09
更新:18/08/29 20:01

会沢昇太郎

ショートショートをロングロング愛しています。女性の髪はショートかセミロングが好きです。

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